BJU International, 2008 February; 101(3):319–24
AUTHORS: Pinggera GM, Mitterberger M, Pallwein L, Schuster A, Herwig R, Frauscher F, Bartsch G, Strasser H
CENTRES: Departments of Urology and Radiology II, Medical University of Innsbruck, Innsbruck; Academic Hospital of the University of Innsbruck, Feldkirch; and Department of Urology, University of Vienna, Vienna, Austria
高齢男性の下部尿路症状(LUTS)は前立腺腫大による出口部閉塞が原因で生じることが多い.治療にはα1遮断薬などの薬物が広く使用されているものの,LUTSの正確な病因はまだわかっていない.本研究の目的は,LUTSの病因および下部尿路に対するα遮断薬の正確な作用機序に血流の改善が含まれるのかを明らかにすることであった.
前向き観察研究.
下部尿路に対するα遮断薬の作用機序.
まず,経直腸的カラードプラー超音波検査(TRCDUS)およびカラーピクセル密度(CPD)を用いた組織内血流測定の精度をブタモデルで確認した.この確認実験の後,男性健常被験者4例およびLUTS患者19例に対する計測を行った.膀胱に濃縮尿の浸透圧とほぼ同じ0.2M KClを緩徐注入(50mL/分)して充満させ,膀胱内圧測定により膀胱機能を評価した.これと並行してTRCDUSを実施し,下部尿路(膀胱頸部と前立腺内部)CPDを計測した.次にLUTS患者にα遮断薬(タムスロシン0.4mg)を連日5週間投与した.その後,尿流動態パラメータおよび下部尿路の血流を再度評価した.
健常男性では,膀胱充満によって下部尿路の血流はかなり増加し(157%),最大膀胱容量(Cmax)の平均は481±28.9mLであった.すべてのLUTS患者では,KCl充満による平均Cmaxは322.4±58.5mLと減少しており,KCl充満時の膀胱頸部および前立腺の平均CPDは58.4%増にとどまった.α遮断薬治療後には,KCl充満時の平均Cmaxは382.5±42.9mLに増加した.CPD計測による下部尿路の血流も有意に増加した(132.8%).
この初期研究は,LUTS男性の動的な下部尿路の血流変化を健常若年男性の正常な血流の制御と比較したものであり,その結果はLUTSと前立腺および膀胱の長期虚血との関連を強く示唆している.LUTSに対するα遮断薬の治療効果は,Cmaxおよび下部尿路における血流の増加により説明されると考えられる.
下部尿路閉塞によって膀胱に虚血状態が生じ,長期にわたる虚血によって膀胱の機能的・器質的変化が生じ,これが排尿筋機能低下や過活動を引き起こすというのは,現時点でかなり強く信じられている仮説である.その点で本研究は非常に興味深いが,問題点が2つある.ひとつは,具体的にどこの血流を測定しているのか,もうひとつは,測定方法が非常に難しいために一般の泌尿器科医が簡単に再現できないことである.
