Frans M.J. Debruyne, Md Phd
Consulting Editor
Professor Emeritus and Past-Chairman Department of Urology, University Medical Center Nijmegen, Nijmegen, the Netherlands
Systematic Review: Comparative Effectiveness and Harms of Treatments for Clinically Localized Prostate Cancer
Annals of Internal Medicine, 2008 March;148(6):435–448
AUTHORS: Wilt T.J., MacDonald R., Rutks I, Shamliyan T.A., Taylor B.C., Kane R.L.
CENTRES: University of Minnesota School of Medicine; Clinical Outcomes Research Center, School of Public Health, Division of Health Policy and Management, University of Minnesota, Minneapolis, USA
http://www.annals.org/content/vol148/issue6/#top
泌尿器科医は,限局性前立腺癌の最適な治療法の選択過程において今もなお苦悩している.最近,低リスク病変を有する患者に対する積極的介入経過観察(active surveillance)が復活している.同時に,ロボット支援腹腔鏡下根治的前立腺摘除術が急速に進歩を遂げ,成功の絶頂期にある.
その中間には,組織内照射療法,放射線外照射療法,凍結療法またはHIFUのような低侵襲治療など,多くの選択肢がある.
最後に,つい最近では,限局性前立腺癌の位置をさらにくわしく特定し,癌に対する領域的あるいは局所的治療のための取り組みが進められている.
残された問題は,最適な治療法はどれなのか,またその治療法に適した患者をどのように選択すればよいのかということである.この問題に対する答えは,限局性前立腺癌の至適治療法に関連した多数の論文を分析し,これらの論文から,限局性前立腺癌のさまざまな治療法についてエビデンスに基づく有効性と有害性の解明を試みることによって得られる.実際のところ,限局性前立腺癌治療法の相対的有効性はいまだにほとんど未解明のままである.
Timothy Wiltらはその総説の中で,臨床的限局性前立腺癌に対する治療法の相対的有効性および有害性を,徹底的かつ系統的に検討した.これは,名高い医学雑誌Annalsof Internal Medicineの前号(2008March;148(6):435–448)に発表されている.
限局性前立腺癌の診療に関わるすべての泌尿器科医は,この論文を読まなければならない.この論文では,無治療経過観察とその他すべての形態の局所療法単独または併用療法を含む,さまざまな限局性前立腺癌治療法について発表されたデータすべてが,もっとも詳細に分析されているからである.この総説は,これまでに発表された中で最良のエビデンスに基づく総説であり,その綿密な分析には,2007年末近くまでにMedline,Cochrane Library,Cochranereview group in prostate diseases and urologicalmalignancy registry(前立腺疾患および泌尿器悪性腫瘍登録のCochraneレビューグループ)に発表された,すべての論文が含まれる.
データを発表した著者グループは,ミネソタ大学医学部のアウトカム研究部に所属し,彼らはアウトカム研究の分野において中心的なオピニオンリーダーといえる.
したがって,彼らの結論,すなわち限局性前立腺癌治療法の相対的有効性および有害性の評価は,エビデンスに限りがあるため依然として難しいという結論は,きわめて重要である.
これは,限局性前立腺癌の診療に関わるすべての医師に対する明らかな警告である.25年以上にわたる治療の末に,もっとも詳細な分析によっても,どの治療法が最適であるのか,またその治療法がどの限局性前立腺癌患者に最適であるのかに関するエビデンスを見出すことができない.
これは期待はずれの結果である.必要な前向き研究のプロトコールを作成することが非常に急務であるという,泌尿器科医への警告でもある.そのような前向き研究によって,この総説の決定的でない結論より正確な答えが最終的に得られると期待される.ただし私には,これが果たして可能であるかどうかも疑わしい.しかし,試してみなければ,期待される答えは決して得られない.
私としては希望を持ち続けたい.